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Author:chikotan
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ひとりごとが増えたな、と
ひとりごとを言いながら
「ひとりごとが増えたな」と
ノートに書き込む
話す相手もいないのに
言葉がふわふわ湧いてくる
こんな淋しい夜
わけもなく楽しくて
とてもかわいい顔をして
たった一人で笑いこけてみる
こんな心のまま
明日 人に 会えたらいいのに・・・
こんな笑顔のわたしを
明日 あの人に 会わせられたら・・・
ひとりごとの声は
小鳥のさえずりのように
チュクチュク言うばかりで
あんまりよく わかんない
こんな夜は 楽しくて
何かにギュッと 抱きつきたくなる
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
電話が来た と思ったのは空で
母の手をまねて 編み針を持ったら
母の声が 聞こえてきた
柱にもたれて 無心に針を動かす
母の瞳を かすめたものは
私や弟の動く姿ではなく
私や弟の形をした
風だったのだろうか
穏やかな母を うるさがらせたものは
私や弟の動く姿ではなく
まぶたにかかる 前髪だったのだろうか
そんなつもりはなかったけれど
母の手を真似て 編み針をもったら
母の心になっていた
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
男は風で
時に雲を巻き込んで吹き荒れてみるが
彼女の心の湖に
さざ波ひとつ立てることができない
まして湖の底に住む鯰(なまず)に
いったい何を伝えられよう
男は風で
心の湖の冷たさの
その奥底までも見たいから
さんざん吹いてみるけれど
やはりそこは心の中
波紋ひとつ起こせない
男は少年になり
岸辺を歩き湖を見るが
青く透き通った湖の
底の鯰までは見つけられない
小石を拾い湖に向けて放つと
ようやく小さな波紋を起こし
湖が少し揺れた
湖は広く少年は小さく
まわりの石を投げつくしても
湖の水はあふれもしない
男は鳥になり
湖の真上から突入するが
動かない鯰を見つけることができない
同心円の輪の列を
自ら破って地上に出たとき
鳥の羽は濡れてはいないが
湖の形も変わってはいない
男は大地になり
湖の地下から揺さぶると
鯰が動き出し
湖はざわめき立った
男は奮起して
大地の中で暴れると
湖は裂け 水はあふれ
鯰はやがて行き場を失い
男の胸の中で息絶えた
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
華麗な肢体を内に秘めた毛虫が
薔薇の若葉を食っておりました
美しく彩られた体毛の中には
魔除けの毒が満たされておりました
蝕まれながらも薔薇は
爽やかな芳香を放ち
今まさに咲きつつありました
少年が薔薇を見つけました
目を細めながら腕を伸ばし
初めて罪を犯そうとしました
薔薇は伸び上がり 知らずに棘を
少年の肌に突き刺していました
そのとき毛虫の毒針が
少年の体を貫きました
少年は泣きながら去って行きました
残された薔薇は 香り高く
満開の時を刻みながら
朝の冷気の中
むせび泣いておりました
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
舞い上がる桜吹雪
届かぬほど遠い未知の国へ
一人娘送ってから
三度目の春
流れ着く場所が
大人になった君に似合う街なら
きっと何処まで追いかけても
この腕すり抜けて行くだろう
あやうい足取りで
空を仰いだ子供の頃
あの頃と何が変わったのか
わからないまま
やがて ひとり とりのこされていく
涙渦巻く公園のブランコに
君が見えるよ
父を呼ぶ声
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
桜吹雪の 海岸では
春真っ盛り 妖精たちが
少し冷たい 海風誘い
少女の影と 波をからめる
名残桜の つぼみの数を
青空透かして 見上げていると
遥か海鳥の つぶやきが
海風に包まれ 空に渦巻く
海岸を走る 車の窓に
春の妖精たちが飛び込み
踊り場を失って
少女の手のひらに 舞い降りる
春まで保てなかったわたしの愛は
よみがえる思い出になすすべもなく
こんなにも切ないのは
あなたがとても幸福すぎるから
あなただけがとても 幸福すぎるから
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
沈む夕日 感じるだけの
愛を心に 育てられたら
明日 花開く 青いつぼみを
今日 手折ったり できないでしょう
待ってください 朝が来るまで
夢を辿って 空色になるまで
星の光 受け取るだけの
ほんの少しの 想いがあれば
明日 見えてくる 遠い未来を
今日 影の中 信じられる
待ってください 朝が来るまで
夢を辿って 空色になるまで
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
ゆりかごの中から見上げる空は
やっぱり 青・・・ですか
あの空の向こうから
あなたは送られてきたのでしょう
わたしたちの 地球に
街のざわめきも
地を覆う冷たい黒雲も
あなたはまだ 何も知らない
そして目を閉じて漂っている
青空の向こうの 透明な宇宙
早く! 飛び出しておいで
こんなに汚れた世界だけど
何も知らずに過ぎてしまうよりは
たくさんの色を見た方がいい
なぜ生まれてきたか 誰もわからないけれど
生きている者だけが
生命(いのち)の色を見つけられる
消えていった億万の命と
残された莫大な遺産
その繰り返しが宇宙の法則であるなら
限られた生涯のうちに なにかを残したい
小さな社会に閉じ込められて
どんな創造も行き場を失う世の中であっても
染まりながら 歪みながら
苦しみながらでも
自ら輝く色彩を持ちたい
先行く者よ 見守っておくれ
生まれ出る者の手が 今
空をめざし 動き始めた
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
願いごとは 心を
ラッピングして 飾るわ
あした晴れたら 赤いシャツ着て
公園を駆け回るの
みたい いきたい
なりたい あなたの
あなたの 恋人に
願いごとは いつでも
飛ばされてゆく リボンね
あなたのまわりを くるりと回って
大空の中 消えるわ
みたい いきたい
なりたい あなたの
あなたの 恋人に
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
なんにもすることがなくなると
私のこと 思い出すみたいですね
あなたって人は
「それでいいさ」って
少年のようにつぶやいて見るけれど・・・
鳥のように自由に飛び回り
リスのように見え隠れして
好きなこと好きなように
思い通りに振舞ってほしい
やわらかな鳥の巣にも
あたたかな木のむろにも
わたしはまだ なれないけれど
そんなわたしでも そばにいていいのなら
そばにいるだけでいいのなら・・・
でもときどき わたしの一人相撲
あの人は今 淋しくないのかしら・・・
自分勝手でわがままなわたしだから
淋しくなると
あの人も 淋しければいいのに・・・
いつか あなたの後ろについて 空を飛びたい
無邪気に 小枝の間で かくれんぼでもしよっか
わたし きっと ついていけなくて
泣きべそをかくだろう
でも 待たなくていい
わたしは 自由なあなたが
飛び回る あなたが
一番 好きなのだから
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
どんなに しあわせになっても
思い出して 泣きたくなること
きっとある
どんなに 時がたっても
人を傷つけたり 傷つけられたり
それだけじゃなく
誰かが死んでしまったり
命を奪ったり
そんな記憶もって
生きていたくないけれど
さみしすぎるから
いつか しあわせに なるんだろう
どんなに しあわせになっても
もどれない時って きっとある
何も知らないで
しあわせだなんて思わなくても
まるごと しあわせのなかに いたとき
憎しみが本当は愛だって
気づかないで 別れてしまったこと
どんなに しあわせになっても
なりきれないしあわせって ある
失うまで気づけない 本当のこと
そんなことに気づいた人だけ
にばんめの しあわせ つかむんだ
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
生きることが つらく
生きることが 苦しく
そして よろこびが わずらわしく
なにも わからない わたしは
しあわせになるために
うまれてきたわけじゃない
と うそぶいている。
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
楽になりたいと願う
ただそれだけのために
なんと多くの時間を費やし
過ぎていくことか この人生とは
全て死に向かう
ただそれだけのために
なんと多くの生命が
現れることか 休みもなく
生きることについて(死ぬことについて)
子供のように問うてみる
人に課せられたその宿題を
やがて思い知るときがくる
古来 自然の中で生きていた頃
人は毎日学んでいた
なぜ生まれ なぜ死ぬか
人々の中に世界は開かれていた
間違いがあるにしても
答えはいつでも用意されていた
それは問うことをためらわずにすむ
身近な親しげな問題だった
今になって文明は
答えを失ってしまったようだ
間違いを否定するばかりで
何を得たつもりになっているのか
今では語ることさえ避けられている
死についてなど
楽になりたいと願う
その苦しみをテーマに
今ふうのやり方で解く
神の指導のもと
繰り返される授業のように
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学
子供がおもちゃ箱から
おもちゃを取り出すように
たくさんの物思いの中から
ひとつの物思いを取り出し
眠りつくまで
物思いとたわむれている
テーマ : 自作詩 - ジャンル : 小説・文学